インプラント治療の構造や材料はどうなっている?

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2024.10.04

インプラント治療の構造や材料はどうなっている?

インプラント治療とは、歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。1960年代にスウェーデンのブローネマルク博士によって開発されて以来、技術も進歩し、現在では多くの人々がインプラント治療を受けています。

インプラントは、自然な見た目と機能性を兼ね備えており、従来の入れ歯やブリッジに代わる優れた選択肢として広く普及しています。本記事ではインプラントの構造について詳しく解説します。

■インプラントの基本構造はどうなっている?

インプラント治療は主に3つの部分で構成されています。

①人工歯根(インプラント体)

インプラント体は、顎骨に埋め込まれる人工歯根の部分です。通常、チタンやジルコニアといった生体適合性の高い材料が使用されます。インプラント体は、顎骨としっかり結合し、安定した基盤を提供します。

②連結部分(アバットメント)

アバットメントは、インプラント体と上部構造(クラウン)をつなぐ中間部分です。インプラント体の上に取り付けられ、クラウンを固定します。アバットメントは取り外しが可能で、調整や修復が容易です。

③上部構造(クラウン)

上部構造は、口腔内に見える人工歯の部分です。アバットメントに固定され、咬合力をしっかり受け止めます。上部構造には、審美性と機能性が求められます。

■インプラント体の材料

インプラント体の材料には主にチタンやチタン合金、とジルコニアが使用されます。

✔️チタン・チタン合金の特性

チタンは、生体適合性が非常に高く、体内でアレルギー反応を起こしにくい特性があります。また、強度と耐久性に優れ、長期間の使用に耐えられます。チタンインプラントは、骨と直接結合する「オッセオインテグレーション」現象を促進し、安定した固定を実現します。

✔️ジルコニアの特性

ジルコニアは、審美性に優れた白色の材料で、金属アレルギーの心配がありません。また、強度も高く、長期間使用することができます。ジルコニアインプラントは、特に前歯部など審美性が重視される部位に適しています。

■インプラント表面の処理技術

インプラントの表面処理は、骨との結合を促進するために重要です。以下のような処理技術があります。

表面粗さの調整

インプラントの表面を粗くすることで、骨との接触面積を増やし、結合力を高めます。これは、骨形成を促進し、インプラントの安定性を向上させます。

ハイドロキシアパタイトコーティング

ハイドロキシアパタイトは、骨と同じ成分で構成されており、インプラント表面にコーティングすることで、骨との結合をさらに強化します。このコーティングは、初期の固定力を高め、治癒期間を短縮する効果があります。

■アバットメントの材料

アバットメントは、インプラント体と上部構造をつなぐ重要な部分です。以下のような材料と設計があります。

メタルアバットメント

チタンや金合金などの金属製アバットメントは、強度と耐久性に優れています。特に咬合力が強い部位や奥歯に適しています。

ジルコニアアバットメント

ジルコニア製アバットメントは、審美性に優れており、前歯部など見た目が重要な部位に適しています。また、金属アレルギーの心配がないため、安全性も高いです。

個々の患者様の口腔内の形状に合わせて製作されるカスタムアバットメントと呼ばれるものもあります。より自然な見た目と快適な装着感を提供します。また、咬合力の分散も最適化され、インプラントの寿命を延ばす効果があります。

■上部構造(クラウン)の材料

上部構造は、患者様の口腔内に見える部分であり、審美性と機能性が求められます。主にセラミック系の素材が使用されます。セラミック系のクラウンは、自然な歯の色に近く、審美性に優れています。前歯や見た目が重要な部位に適しています。近年では、強度が向上し、奥歯にも使用されることが増えています。セラミックと金属を組み合わせたクラウンが使用されることもあり、こういった素材は強度と審美性を兼ね備えており、幅広い部位に適用できます。

■材料の生体適合性と安全性

インプラント治療に使用される材料は、生体適合性と安全性が求められます。チタンやジルコニアは、アレルギー反応が少ない材料として広く使用されています。しかし、稀に金属アレルギーが発生することがあります。患者様のアレルギー歴を確認し、適切な材料を選択することが重要です。また、インプラント材料は、長期間にわたり口腔内で機能する必要があります。チタンやジルコニアは、耐久性が高く、長期使用に耐えられることが確認されています。さらに、定期的なメンテナンスとチェックが、インプラントの寿命を延ばすために必要です。

■インプラントのメンテナンスをサボるとどうなる?

インプラント治療は、高い成功率と長期間の耐久性を誇りますが、その効果を最大限に保つためには適切なメンテナンスが欠かせません。インプラントのメンテナンスを怠ると、以下のようなさまざまな問題が発生する可能性があります。

①インプラント周囲炎の発生

②骨吸収の進行

③インプラントの動揺

④口臭の発生

⑤インプラントの寿命の短縮

⑥周囲の天然歯への影響

⑦インプラントの見た目の悪化

■適切なメンテナンス方法

インプラントを長持ちさせるためには、以下のようなメンテナンスが重要です。

・日常的な口腔ケア

歯ブラシでインプラント周囲を丁寧に磨くことが重要です。特に歯と歯茎の境目をしっかりと磨きます。また、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、歯と歯の間の清掃を怠らないようにします。プラークの除去率を上げるために補助グッズも取り入れましょう。

・定期的な歯科検診

定期的に歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受けることで、家庭で取りきれない歯垢や歯石を除去してください。歯科医師による定期的な健診を受けることで、早期に問題を発見し、適切な対処を行うことができます

・健康な生活習慣の維持

栄養バランスの取れた食事を心がけ、口腔内の健康を維持しましょう。また、喫煙はインプラントの成功率を低下させ、インプラント周囲炎のリスクを高めます。禁煙することで、インプラントの健康を守ることに繋がります。

■インプラント材料の選択基準

インプラント材料を選択する際には、以下の基準が考慮されます。

✔️患者様の口腔内の状態や骨の質

✔️審美的要求

✔️咬合力と耐久性

■まとめ

インプラント治療は、失われた歯を再生するための優れた選択肢であり、治療の成功には材料の選択と構造が大きく関係しています。チタンやジルコニアなどの材料は、その生体適合性と耐久性により、長期間快適に使えます。

インプラントの最新技術と研究により、今後もさらに効果的で安全な治療が期待されます。インプラント治療に関する質問や相談は、ぜひ当院におまかせください。患者様お一人お一人の状態や要望をしっかり把握した上でより適した方法をご提案させていただきます。